公益社団法人 日本作業環境測定協会

新たに特化物とされたエチルベンゼン等の作業環境測定について



《更新情報》

2013・05・29

4.FAQs―よくある質問―を追加しました。

2012・11・27

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《Index》

1.

2.

3.

4.



1.

はじめに:[エチルベンゼン][インジウム化合物][コバルト及びその無機化合物]が特定化学物質第2類に

エチルベンゼン、インジウム化合物、コバルト及びその無機化合物が平成24・9・20付け改正労働安全衛生法施行令により新たに特定化学物質第2類に加わりました。

これらについては、平成24・10・1付で特化則等の改正が行われ、その施行通達が平成24・10・26付で出ましたが、このうち、エチルベンゼンの作業環境測定を巡る改正内容が複雑でわかりにくいことから、以下に解説いたします。参考にしてください。

改正労働安全衛生法施行令(H24・9・20)

改正省令〈特化則、安衛則等〉(H24・10・1)

施行通達=平24・10・26 基発1026第6号・雇児発1026第2号

関連告示=平24・12・28 厚生労働省告示第604号

エチルベンゼンは、特化物第2類として労働安全衛生法施行令別表第3に加えられましたが、法令が適用となるのは「エチルベンゼンを用いて屋内作業場で行う塗装業務」のみとなっています。

特化物であるにかかわらず、設備(局排、プッシュプル型換気装置等)、その換気性能、保護具等については、特化則の規定によらずに有機則の規定によることとされ(準用)、また作業環境測定については、「エチルベンゼンと有機溶剤の混合物で、エチルベンゼンと有機溶剤の含有量が合計で重量の5wt%を超えるもの」(これを「エチルベンゼン有機溶剤混合物」と呼ぶことにしています)については、測定→測定結果の記録→評価→評価結果の記録→評価に基づく措置について有機則が準用され、この結果、混合有機溶剤としての評価を行って、測定および評価結果は3年間保存することとなります。

また一方、エチルベンゼンと有機溶剤の混合物であっても、エチルベンゼンの含有量が1wt%を超えるものについては、混合物として存在する有機溶剤の含有量に無関係に特化則の作業環境測定の規定(36条)が適用され、エチルベンゼンのみについての測定・評価が必要であり、また、結果の保存年限は、同物質が特化則の特別管理物質とされたため、「30年保存」となります。

この結果、適用関係は、次の表のような複雑なものとなります。

2.

エチルベンゼンと有機溶剤の混合物についての作業環境測定の適用関係

赤=特化則の適用青=有機則の準用

エチルベンゼンと有機溶剤の合計含有量(wt%)

5%以下

5%超

エチルベンゼンの含有量
(wt%)

1%超

エチルベンゼンの測定・評価(測定・評価結果30年保存)

エチルベンゼンの測定・評価(測定・評価結果30年保存)

1%以下

特化則適用なし(測定義務なし)

エチルベンゼンを含む混合有機溶剤としての測定・評価(測定・評価結果3年保存)



3.

測定方法

作業環境測定における試料採取方法と分析方法は、平成24・12・28付け告示第604号により、次のとおりです。

3-1.エチルベンゼン

試料採取方法

分析方法

直接捕集方法または固体捕集方法

ガスクロマトグラフ分析方法

エチルベンゼンが、単体または混合有機溶剤に含まれる場合のいずれでも、試料採取方法は、直接捕集方法または固体捕集方法のいずれかの選択ができます。

3-2.インジウム化合物

試料採取方法

分析方法

ろ過捕集方法(吸入性粉じん) 

誘導結合高周波プラズマ質量分析方法(ICP-MS) 


3-3.コバルト及びその無機化合物

試料採取方法

分析方法

ろ過捕集方法

原子吸光分析方法


4.

FAQs―よくある質問―

エチルベンゼンを含む有機溶剤含有物の作業環境測定を行う場合の資格要件について

【質問】 この度、特化則に規定されたエチルベンゼンですが、エチルベンゼンを含む有機溶剤含有物の作業環境測定を行う者は、有機則の準用となる作業環境測定の実施なので、作業環境測定法施行規則(作環則)別表第5号に掲げる作業場の種類について登録を受けた者が行うことでよいのでしょうか。

【回答】 エチルベンゼンを含む有機溶剤含有物は、平成24年の特化則の改正で、「エチルベンゼンと有機溶剤等の混合物で、エチルベンゼンと有機溶剤の含有量が合計で重量の5wt%を超えるもの」(以下「エチルベンゼン有機溶剤混合物」という。)と整理されています。
 このため、エチルベンゼン有機溶剤混合物は、測定→測定結果の記録→評価→評価結果の記録→評価に基づく措置について有機則が準用されることとなり、エチルベンゼンを含む混合有機溶剤としての測定および評価結果を3年間保存することとなっています。ただし、エチルベンゼン有機溶剤混合物でも、エチルベンゼンのみの含有量を見たときに重量の1wt%を超えている場合は、エチルベンゼンのみの測定および評価結果を別に作成し、30年間保存が必要となります。
 エチルベンゼン有機溶剤混合物を対象に行う作業環境測定業務のうち、分析・解析は、作業環境測定法施行規則(作環則)別表第3号および5号に掲げる作業場の種類について、両方の登録を受けた者が行う必要があります。
 仮に5号登録のみであれば、エチルベンゼン有機溶剤混合物のうち、エチルベンゼンを除く有機溶剤に係る分析・解析業務のみ行うことができます。逆に言えば、3号登録のみでは、有機溶剤に係る分析・解析業務はできないということになります。

(参考)

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について(平24・10・26 基発1026第6号・雇児発1026第2号)

▽以下抜粋

2 改正の内容及び留意事項

(3)

作環則の一部改正(改正省令第3条関係)

インジウム化合物等又はコバルト等を製造し、又は取り扱う屋内作業場を作環則別表第4号に規定したこと。 (作環則別表関係)

エチルベンゼン等を製造し、又は取り扱う屋内作業場は、作環則別表第3号に規定されることとなったが、エチルベンゼン有機溶剤混合物を製造し、又は取り扱う屋内作業場に係る作業環境測定のうち、有機溶剤の分析(解析を含む。また、簡易測定機器以外の機器を用いて行うものに限る。)については、作環則別表第5号に掲げる作業場の種類について登録を受けた者に行わせる必要があること。



エチルベンゼンを含む有機溶剤含有物(エチルベンゼン有機溶剤混合物)の作業環境測定を行った場合のモデル様式への記載について

【質問】 エチルベンゼンを含む有機溶剤含有物(例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼンの3種が混合された「エチルベンゼン有機溶剤混合物」)の作業環境測定を実施し、「エチルベンゼン有機溶剤混合物」としての測定結果を記録する場合、作業環境測定結果記録表(B様式)の1B-[1]頁のうち、次の記載欄は、どのように記載すべきでしょうか。
○ 測定対象物質等 ⑬種類の欄


⑬種類

特1・特2・有1・有2・鉛・石・その他

【回答】 作業環境測定を実施した際の、結果記録の適当な記載方法を厚労省へ照会しました。その結果、現状では、次のとおり対応することが適当であるとされました。今後のモデル様式改正により、必要に応じて整理されるまでの間は、このように記録してください。
トルエン、キシレンは第2種有機溶剤(有2)、エチルベンゼンは、特定化学物質の第2類物質の一類型・特別管理物質であるエチルベンゼン等(特2)に含まれるものとなるため、それぞれに○をします(下線部分)


⑬種類

特1・特2・有1・有2・鉛・石・その他