第42回作業環境測定研究発表会の実施報告(2021年)
会 期 | 2021年11月17日(水)―19日(金) |
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会 場 | レクザムホール(香川県県民ホール) |
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N=作業環境測定研究発表会;一般研究発表、NJ=作業環境測定研究発表会;事例発表、M=メーカープレゼンテーション
第1日(11月17日(水))
10:00―11:00
演題番号 | 内 容 |
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NJ-01 | シールドガスによる溶接ヒューム発生量の低減について 中井知章(中井知章技術士事務所) 令和4年3月31日までに、継続して行っている屋内作業場では溶接ヒュームの濃度測定が義務付けられ、その測定結果に応じて換気装置の風量増加その他の措置を講じなければならない。その他の措置として溶接ヒューム発生量の低減があるが、文献等の調査結果、次の得られた知見について報告する。(1)シールドガスにアルゴン系ガスを用いたバルスアーク溶接法が効果的である、(2)シールドガスと溶接品質に与える風速の影響について |
NJ-02 | 溶接ヒュームの金属測定(マンガン、鉄、亜鉛)について 古田圭司(パナソニック健康保険組合 産業衛生科学センター) 令和3年4月の特定化学物質障害予防規則等の改正により溶接ヒュームが特化則に追加され、マンガンの個人ばく露測定が義務付けられた。当センターでは法改正前から作業環境測定を実施しており、溶接ヒュームは様々な健康障害の発生が考えられるため、マンガン以外に酸化鉄、酸化亜鉛の測定を実施している。今回の法改正でマンガンの測定が吸入性粉じんに変更されたことから、変更に伴う測定データへの影響を確認したので報告する。 |
NJ-03 | 溶接作業場における溶接ヒュームの個人ばく露測定結果から見たばく露の現状について 市後崎隆則((一財)西日本産業衛生会 環境測定センター 北九州事業部) 溶接ヒュームは令和3年4月1日に施行された労働安全衛生法施行令等の改正で特定化学物質として位置付けられたため、測定等が義務づけられた。当センターでは、約100の事業所(7月現在)について溶接作業場の個人ばく露測定を実施した。その結果をまとめて均等ばく露作業について検証し、また、ばく露の現状についてもまとめたので報告する。 |
11:00―12:00
演題番号 | 内 容 |
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NJ-04 | 溶接ヒューム濃度の測定事例とその活用 遠藤 彰(秋田環境測定センター(株)) 溶接ヒューム濃度の測定結果傾向として、鋳物製品等の仕上げ加工で行われている金属アーク溶接等(炭酸ガス溶接、ガウジングおよび研磨作業)では比較的濃度が高く、呼吸用保護具の要求防護係数は10を上回る傾向にあった。TIG溶接では比較的濃度は低く、要求防護係数は4を下回る傾向にあった。溶接作業は長時間に及ぶことが多く、労働者の作業強度を考慮した呼吸用保護具の選定が望まれる。 |
NJ-05 | 溶接ヒューム濃度測定を実施して 湯浅映里(中央労働災害防止協会 大阪労働衛生総合センター) 溶接ヒュームが令和3年4月1日より、特化物に加えられ、特化則により規制された。この規制が施行されてから日が浅いため、溶接ヒューム濃度測定の実績が少ない。そこで、これまでに大阪労働衛生総合センターが実施した溶接ヒューム濃度測定のデータを集計し、溶接の種類及び溶接ヒューム中のマンガン濃度の関係や、改善策についてまとめた。 |
NJ-06 | 溶接ヒュームばく露濃度測定における改善事例―ブロック内部における溶接作業― 弦本忠嗣((一財)西日本産業衛生会 環境測定センター 大分事業部) 令和3年4月1日から溶接ヒュームが特定化学物質(第2類物質)に追加され、個人サンプラーを用いて空気中の溶接ヒュームの濃度を測定することが義務付けられた。当センターが個人サンプラーによる溶接ヒュームの濃度測定を実施した事業所の中で、評価の悪かった均等ばく露作業場に対して改善を行うことで、溶接ヒュームの濃度が低減し良好な結果が得られたので報告する。 |
13:00―14:00
演題番号 | 内 容 |
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NJ-07 | アーク溶接作業におけるリスク評価事例 山田祐作((一財)滋賀保健研究センター) 2021年4月に労働安全衛生法施行令の一部が改正され、アーク溶接ヒュームが特定化学物質第2類に追加された。溶接作業においても適切な作業管理・作業環境管理の定着が求められている。アーク溶接作業において、作業環境に対して特に影響の大きいアーク溶接ヒューム、有害ガス等に問題を絞って気中濃度測定を実施した。また、アーク溶接作業現場での全体換気・局所排気による換気効果も含めて調査したので報告する。 |
NJ-08 | 大学における加熱脱着を活用した作業環境測定及びアセトニトリル測定について 宮田昌浩(東京理科大学 環境安全センター) 大学の作業環境測定では、測定時に使用していなかった物質が検出されることや反応によって生成された物質の検出により評価困難になることがある。対応方法として加熱脱着を活用したGC/MS定性分析等を行った上で、評価した実施例について報告する。また、大学で使用量の多いアセトニトリルの測定方法は、固体捕集法(活性炭)が一般的であるが、前処理を省くことができる直接捕集方法(捕集袋)の検討結果も報告する。 |
N-09 | フェノチアジンの測定手法の開発 中島賢邦((一財)上越環境科学センター) フェノチアジンの測定・分析手法について、個人ばく露濃度測定および作業環境測定手法の検討を行った。HPLC法を用いて分析を実施し、検量線は液濃度0.1―100 μg/mLの範囲で良好な直線性を示した。ろ過捕集・溶媒抽出の標準添加による脱着率および4時間の通気試験ではいずれも回収率90%以上となった。また、冷蔵保存で5日間の保存安定性を確認したので、労働衛生管理に役立つ測定分析手法が開発できたと考える。 |
14:00―17:00(メーカープレゼンテーション)
演題番号 | 内 容 |
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M-01 | サンプリングポンプ AirChek Connect/Essential, Flite4 ノイズチェック Noise CHEK (株)アイデック |
M-02 | ソフトウェア製品「環境Office」の紹介 秋田環境測定センター(株) |
M-03 | 個人サンプリングによる測定における[呼吸域測定用治具][個人ばく濃度測定用ベスト]のご紹介 (株)ウエスト |
M-04 | 次世代環境分析支援ソリューション eaXROSS (株)エイビス |
M-05 | 作業環境測定などに使用可能な製品のご紹介 (株)ガステック |
M-06 | 作業環境測定等に使用できる製品の紹介 光明理化学工業(株) |
M-07 | 電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR) (株)重松製作所 |
M-08 | マスクフィットテストについて 柴田科学(株) |
M-09 | ラボにおける作業環境測定との連携 定期自主検査の実施やフォローの提案 (株)ダルトンメンテナンス |
M-10 | 作業環境計測装置のご紹介 東京ダイレック(株) |
M-11 | 改定JIS T 8150に準じたフィットテストについて トランステック(株) |
M-12 | マスクフィットテスターのご提案 日本カノマックス(株) |
第2日(11月18日(木))
10:00―11:40
演題番号 | 内 容 |
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技術講演 | 金属元素の化学と高温での挙動―アーク溶接と原子発光分析― 永澤 明(埼玉大学名誉教授) |
13:00―13:50
演題番号 | 内 容 |
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特別講演 | 職場における化学物質規制の見直しについて 樋口政純(厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課) |
第3日(11月19日(金))
10:00―11:00
演題番号 | 内 容 |
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NJ-10 | モバイル端末を使った現地採取記録の電子化の試みと今後の活用に関する一考察 渋谷雅紀(住鉱テクノリサーチ(株)) 作業環境測定の現地採取記録は、紙の図面にボールペンで筆記を行っているが、人為的ミスの可能性があった。現地採取記録にモバイル端末を使い、電子化した結果、従来の問題点に対して一定の利点を確認できたが、一方で課題も見つかった。本事例発表では、実際に使ってみて得られたメリット・デメリット及び今後の活用のイメージについて報告する。 |
NJ-11 | グラビア印刷工場における全体換気装置の有効活用について 奥村亮士((一財)京都工場保健会) グラビア印刷工場における、全体換気装置の有効活用について事例紹介します。作業場の有機溶剤濃度の低濃度化に向けて、段階的に行われた換気対策に併せて、合計5回の作業環境測定を行いました。それらの作業環境測定結果をもとに、有害物が低濃度化されていく推移を主要成分であるトルエン濃度を用いて紹介します。 |
NJ-12 | コロナ禍における作業環境測定の対応について 明石康伸(内藤環境管理(株)) 新型コロナウイルスの影響により、事業場に外部からの作業者を入れない等の措置を取られる事業者もあり、作業環境測定の実施について制限(延期または中止)される事例がある。今後も影響が続くことが予想されるコロナ禍における作業環境測定について、事業者のリスク管理の考え方やその対応について事例を交えて考察する。 |
11:00―12:00
演題番号 | 内 容 |
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NJ-13 | 加熱脱着装置を用いた作業環境中の有機溶剤測定法に関する検討(5) 今井秀子(パナソニック健康保険組合 産業衛生科学センター) N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMP)は、塗料溶媒や脱脂洗浄剤、リチウムイオン電池の塗工液等として産業現場において広く利用されているが、日本産業衛生学会の許容濃度が1 ppmと低いため、高感度での測定分析が必要である。当センターでは、許容濃度の1/100の定量下限値を満たす方法について検討し、本研究発表会で報告した。今回は、加熱脱着装置を用いた方法の検討を行い、良好な結果が得られたので報告する。 |
NJ-14 | PCB含有廃感圧複写紙処理における詰め替え作業中の作業環境測定事例 遠藤允泰((株)クレハ分析センター) 5%程度までのPCBを含有している感圧複写紙の廃棄物を適正処理するために詰め替え作業が行われている。この作業はプッシュプル換気装置内で実施しているが、作業室内のダイオキシン類の作業環境は第3管理区分となった。プッシュプル換気装置内での作業にもかかわらず、室内のダイオキシン類の作業環境を悪化させた原因の突き止めとその対策について紹介する。 |
N-15 | 蛇紋石系アスベストの新たな定性分析方法の検討 第2報 澤木大介((株)太平洋コンサルタント) 昨年の本研究発表会(作業環境誌上採録)にて著者らは、蛇紋石系アスベストの新たな定性分析方法として、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)と示差熱天びん/質量分析(TG-DTA-MS)を提案した。実際の分析検体(建築部材)2点に適用し、その有用性を確認した。その後さらにいくつかの分析検体への適用結果を得たので、本年はそれらを加え、新たに報告する。 |
作業環境測定関連機器展示
会 期 | 2021年11月17日(水)―19日(金) |
出展企業によるメーカープレゼンテーションの模様(2021年11月17日) |
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出展企業(五十音順) |
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お問い合わせ先
公益社団法人 日本作業環境測定協会
研究発表会係
TEL:03-3456-1601
FAX:03-3456-5854